その時。
 何かが抜け落ちた。
 途端、それは軽くなった。
 そして、……重くなった。
 もう、ただの肉の塊。
 これが――人の、死。







月色の言葉







 陽が落ちて、砂に飲まれた大地は乾いた空気を研ぎ澄ます。
 空に眩い光があるときと、幽けき光があるときと。
 鮮やかさを喪った大地では、同じようで、まるで違うようだった。
 我知らず、緩く開いた自分の手のひらに目を落とす。
 消えない感触は未だ生々しくこの手にある。
 抜け落ちていく様。
 軽くなった瞬間。
 重くなった時間。
 なにもかも……。
 寒々とした風に少し伸びてきた褐色の髪をなびかすに任せ、きつく抱えた両膝に顎を埋める。居続けるには少々辛い外気も、意識の外にしかなかった。
 奥底に、この空気より冷たい澱が染みついている。
 息が苦しい。
 眩暈がする。
 どうして――?
「どうしたのよ?」
 やわらかくも凛とした声が聞こえて、少しだけ顔を上げた。
「……別に、……」
 続ける言葉が見つからなくて、そのままそこで言葉を終えてしまう。
「そう?」
 少し最後の音が上がった返事だが、特に霧散した先を求める色はなかった。続けて何かを言うわけでもなかった。
 首から力が抜けて、けれども今度は埋めずに膝頭に乗せる。一人でいたときのような痛い沈黙ではなくて、どこか落ち着く静けさが、息苦しさも忘れさせてくれる。濁った氷を少しだけ溶かしてくれると、錯覚でも信じたい。
 ふっとすぐ隣に降りた気配に、驚いて顔を上げ、見やる。やわらかに微笑んでいた。普段の勝ち気さからはあまりぴんとしない、そんな色で。
「私も眠れないの。なんだか目が冴えちゃって」
 ――今日、多くの人が死にました。
 ――今日、多くの人が殺されました。
「同じ、でしょ?」
 ――今日、一人の人が死にゆく時を見ました。
「まぁ、な……」
 声が聞こえる。
 それが、とても安心させてくれる。
「無力、だよな。精霊たちから力をもらっても、死んでいく人をただ見てるしかない」
「そう……だね……」
 そこに遺ったのは、ただの肉の塊。
 今は生きていても、いつかは死んで、何かがなくなって、肉だけが遺る。
 等しく死は訪れる。
 それは、どんなに遠くても、どんなに――近くても。
「なんで集まったのか……わかった気がするわ」
 この七人が。
「独りだけじゃ弱すぎるわよね、私たち。でも、独りじゃないから、みんなと一緒にいるから、こうしていられる気がするの。だから。――大丈夫よ」
 独りで抱え込まなくていいよ。ちゃんと、周りにはみんながいるから。
「大丈夫。みんなで、みんなを守るから、私たちは死なないよ。ね?」
 きょとんとした顔は、刹那、ようやく微笑んで。
「……守る、か」
 あたたかくて強い笑顔だから、信じても、いいよな?
「人類の滅亡って言われても、正直実感はないんだ。言われたとおりに精霊に会いに行って、人間のやってきたことを見て、何かが間違ってることがわかって、それでも結局」
 失いたくないもの。
 一番、大切なもの。
 それは、滅ぶかもしれない人間の中に在って。
「この旅が――護ることにつながるなら」
 大切な人たちを失わないために。

 空を見上げて、少年が問いかける。
「ククル。オレたち、大丈夫だよな……?」
「うん。きっと大丈夫だよ。……アーク」
 月を見つめて、少女が頷いた。














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 う〜ん、どうなんでしょう…? このゲーム。短いらしいのでそう遠くないうちにED見るとは思いますが。きっと、なんか違うなって代物ではあると思います。うん。キャラがいまいち掴めていないので。アーク好きです。結城さん〜☆(笑) ククルもなんか好みですよ、さっぱりしてる? 吉田さんの声がいいわ〜☆
 ソフト自体は以前弟が購入して、序盤で投げてました。私も特にする気なかったのですが、どつぼ中に参加していた、ニフティのリアルタイム会議の方でちょっと、アニメ版の話で騒いでまして。私のトコは衛星見れてもノンスクランブル見れないというあるケーブルテレビ局なので、見たい見たい騒ぐ側でしたが。見るなら1やってからがいいと奨められまして。それでです。おかげさまでテンションも上がって今こうして復帰できてますが(^^;
 これからもArcで何か書き続けるかは、これから次第、それとこれへの反応次第ですね。

 でもなんか書きたい虫が疼いてます…ネタ、ないかしらね…