2. M a g i c & W i z a r d s ' W o r l d |
何かが、引き剥がされたように離れていった。 すごく嫌だなと思って、取り戻そうと手を伸ばした。 だけれど、何にも届かなくて、何にも掴めなかった。 何かが、すぐ近くから遠ざけられていった。 それが何なのか、その時はわからなかった。 「念のために隠れてみて、良かったみたいだね」 緊迫感などかけらも感じさせない声で、扉の向こうに遠く過ぎ去った足音を聞いて獏良が言った。 「ペガサスの島に行く船で見たことあるような顔がいると思ったら……まったくだな」 偶然だった。 偶然、姿を見かけて。偶然、戻ってきたモクバにその話をしたところで十数の足音が近づいてきて。疑って損はないとばかりに身を潜めたら。 「くそ、ビッグ5のヤツら悪あがきしやがって」 懸念は大当たりだった。扉越しに早く捕らえろだのFフロアに連れていかないとだの話す声もしっかりと聞いた。あのとき手近にあったのが兄の部屋で良かったとモクバは心底安堵したものだ。ここのように特殊な鍵が必要でない部屋など、すぐに中を改められていたに違いない。 「どうする? 遊戯たちは捕まっちまったようだが」 窓の外をこっそりとうかがっていた本田が、目敏くSPに囲まれた遊戯たち四人が車に乗せられているのを見つける。 「あいつらはFフロアって言ってた」 モクバが真剣な面持ちで小さな手を握りしめた。 「たぶん、海馬ランドに連れてかれたんだ。しばらく前に増設したフロアがFだ。そこには、まだ一般公開はされてないけど、新型のバーチャル・シミュレーション・ゲームがある」 詳しくはモクバも知らないが、M&Wを用いた、仮想空間でのロール・プレイングをコンセプトにつくられたゲームだと記憶している。しかもそのプロジェクトを持っていたのはビッグ5だ。 「どうする? そこに乗り込んでも…」 「わかってる。何の解決にもならない。けど」 そこで言葉を切ったモクバは、少しだけ、笑ってみせた。 「この部屋には、いいものがあるんだ」 目を開けて。真っ先に、のぞき込む杏子の顔が見えた。 「あ、遊戯。気がついた?」 一瞬だけ驚いたように目を見張ったものの、すぐに杏子はほっとしたように微笑む。 起きあがって、――自分が起きあがったことに、遊戯はつと呆けた。だが、それも一瞬だけ。すぐに何でもないように辺りを見回した。 「ここ、ゲームの中?」 薄暗い雲が低くたれ込め、横手に広がる森はうっそうと生い茂る。 「そうみたい。ペガサスの島より、ちょっとすごいかな?」 「この格好のままだしね…」 現実で来ていたそのままの自分の服を見下ろし、遊戯も笑った。あの島にいたのは短かったものの、今はその直後である。確かにずっと都会のただ中にいて急にここに投げ出されたのならば落差も激しくショックもあるだろうが。 「あれ、そういえば……城之内くんと舞さんは?」 それらしい姿は近くには見当たらない。もとより静かな二人とは言い難いので、一つも声がしなければいないと思っていいだろうが。 「それが、どうもはぐれちゃったみたいなのよね」 この仮想世界にデータとして創り出されたとき、出現場所の指定か何かが狂ったのだろうか。海馬に事情を聞けと言われても、無論その彼の姿も見える限りにはない。 「デッキ…はちゃんとある、千年パズルもある…し、あれ」 自分の左腕にリストバンドのような見慣れぬ物を見つけて、遊戯が眉をひそめた。 「"STATUS"――ステータス、これってやっぱりボクらのかな」 そんな文字が記されている四角く刻まれたそのボタンを押してみると。 「へぇ」 ぶぅんと羽音のような低音がして、遊戯の前にホログラフのように画面が浮かび上がった。 「LPはライフポイントとして…名前にクラス、あ、説明書もだ」 「つまりこれってステータス画面兼取説ってわけか」 遊戯と同じように自分のステータスを表示させた杏子が、不思議そうに自分のクラス(職業)を見つめる。 「なんか、変わってるわね」 「……ボクのもきっと、何か意味があるんだろうな」 手掛かりの少ない今はその問題を後回しにし、遊戯は基本的なルールのチェックに専念しはじめた。事前の説明もないままに放り込まれたのだから、今しかない。 「ラスボスを倒せばゲームクリア、ライフポイントが0になればその時点でプレイヤーはゲームオーバー。戦闘は自分のデッキを使って――」 画面に見入りながら指折り確かめていく遊戯の肩を、不意に杏子が掴んだ。 「何?」 振り向くと、杏子は一方を指差す。 「ウワサをすれば影、ってのよね」 遊戯と杏子が今いるのは森に刻まれた幅広の道のような開けた場所だが、それはつまり両脇を森に囲まれていることになり。 「やだなぁ、虫が多すぎて黒い霧みたい」 「この森って昆虫系のモンスターの巣みたいだね…」 しかし。その何百近いその大群が、まっすぐこちらへ向かってくるとなるとのんびりはしていられない。 「来た!」 一斉に押し寄せて来だした群に慌てて杏子が遊戯を見たとき、遊戯はデッキを取り出して軽く扇形に開くと、そこから二枚のカードを取り出していた。 群れていて判別しにくいが、蜂型が大半らしい。キラー・ビー辺りなら攻撃力もさほど高くないだろうからそれについては問題ないが、この数は厄介だ。デュエルと違って一対一にもならない。エンカウントはこの群だけとは限らずどこからあるかわからない。そしてなにより。 デッキを持たない杏子を、遊戯は守らなくてはならない。 「召喚――暗黒騎士ガイア!」 先ほど取りだしたうちの一枚、ガイアのカードを掲げて、遊戯は召喚を宣言する。直後、カードは閃光を放つと光に姿を変えた。生み出された光は遊戯たちの前に螺旋を描いて円を形作り、刹那その中から、馬のいななきと共に雄々しい黒騎士が勢いよく飛び出す。 「杏子、乗って!」 「え?」 思わず呆気にとられた杏子の手を引いて遊戯はガイアの傍らに駆け寄ると。 「お願い、杏子のことを守ってて!」 その意味を杏子が理解したとき、軽やかに身体が持ち上がっていた。モンスターって力強いんだと見当外れのことが脳裏をかすめる。 すぐにガイアは手綱を引き、主人に指し示された方向――蜂の群から逃れる方へ、馬を走らせ始めた。 「遊戯!?」 一人残った遊戯は心配いらないというように笑うと、もう一枚のカードにも召喚を命じる。 「カース・オブ・ドラゴン!」 翼で一度大きく空を打ち据えた琥珀の龍は主を乗せ舞い上がると、波打つ黒い霧を睨め下ろし。 「ヘル・フレイム!!」 遊戯の命を受けて、かっと開かれた顎<あぎと>から伸びる火線でもって先鋒たる巨大蜂を一瞬で焼き払った。 「海馬ランドにあるゲーム・システムもこことつながってるんだ。海馬コーポレーションのクローズド・ネットなんだぜぃ!」 モクバの持っていた鍵で開かれた、執務室に隠されていた地下への入り口の先は、複数のモニターとコンソールを併せ持つコンピューター・ルームとなっていた。 「くろーずど・ねっと?」 聞き慣れない言葉を本田が反芻するが。 「専用ネットワーク、つまりこの場合、海馬コーポレーションの内部だけで独立して組まれているネットワークだね。すごいなぁ、さすが世界的大企業ってトコロかな」 のほほんと説明する獏良の目は周囲に向け輝いており、どうやらここの高度な設備に感激で胸一杯らしい。 「ここからなら、兄サマたちのいるゲームのシステムん中にアクセスできるかもしれない!」 忙しなく端末を使用できる状態に起こすと、十数以上の長いパスコードをモクバは淀みなく入力した。 「システム"Magic & Wizards' World"……あった!」 なんとか目的地を見つけだし、現在進行中のゲームデータにアクセスする。それに伴っていくつかのモニターの表示内容が変化した。プレイヤー五人のステータスや今までの行動の概要、そして。 「兄サマだ!」 一番大きなモニターに映し出されたのは、主人公を中心にゲーム内容を再現した映像だった。 「やっぱりキリがない…!」 カース・オブ・ドラゴンでの攻撃を数度繰り返すうちに、蜂の進攻は目に見えて滞り始めていた。しかし、黒い津波のようなそれの足を止めただけでは、何の解決にもならない。 眼下の杏子の方にも時折ちょっかいを掛けてくる雑魚がいるが、ガイアがもれなく一撃で退けてくれているので差し迫った心配はいらないだろう。 最初の予測どおりに、なんとしてもここは振り切るしかなさそうだ。しかし防ぐだけならばともかく、それを実行するにはカース・オブ・ドラゴンではいささか火力が足りない…… 「――黒炎弾っ!!」 「バースト・ストリーム!!」 くっきりと響いた二つの命令と共に、紅蓮の火球と青白い輝きが遊戯のさらに上方から風を切り裂き飛来すると、圧倒的な破壊力で森ごと巨大蜂の群を大きく抉った。 「城之内くん! 海馬くん!」 ほっそりとした漆黒と堂々たる白銀がそれぞれの主を乗せて、高みから遊戯の両脇へと舞い降りる。城之内の真紅眼の黒竜――レッドアイズ・ブラックドラゴンと、海馬の青眼の白龍――ブルーアイズ・ホワイトドラゴンだ。 「遊戯、やーっと見つけたぜ! 舞も一緒だ!」 腕を振り回し声を掛けてくる城之内に手を振り返しながら遊戯が下を見ると、杏子のそばにも舞の姿が増えており、その二人をガイアとハーピィ・レディが守っている。 「カース・オブ・ドラゴンが見えたからな、飛んできたぜ!」 「そっか。合流できてよかったよ!」 しかも今し方の威力があれば、巨大蜂の群など苦でもない。 「無駄話は後にしろ。リアルタイム・バトルらしいからな」 「わかってる」 しかしここはこの二人に任せてしまった方がいいだろうと遊戯は判断した。遊戯のデッキにいるモンスターは広範囲一掃にはあまり向いているように思えない。二人の後方に下がって、前を開ける。 「よっしゃ、とっとと片付けんぜ!」 「ふん。オレの邪魔にはなるな」 「だぁーってろ!!」 何かと険悪な空気を振りまきつつ、二人はそれぞれの愛龍に攻撃命令を下す。 惜しみなくそそがれる炎と光によって次々と黒い霧が消し飛ばされる合間に、もっと効果的なところを狙えだのオレの方が早かっただの無駄玉だの何だのと、投げ捨てられる悪態。 「あの二人……最初から一緒だったのかな……?」 だとすれば、さぞかし舞も頭が痛かったに違いない。 遊戯は苦笑まじりに、ささやくようにそうつぶやいて――わき起こった色濃い不安に瞳を揺らしながら、胸の千年パズルを見つめた。 森をかなり焼き払いながらも巨大蜂を山のような塚から根こそぎ倒したのは、それからまもなくのことだった。 「そうか、海馬くん、モクバくんで脅されて……」 つつがなく五人は合流を果たせたものの、あくまでもスタート地点に立てた程度の意味合いでしかない。広々としてしまった焼け野原に伏せて辺りをうかがうレッドアイズとブルーアイズの間で、若干一名ほど不本意そうな人間を交えながらも円陣を組み情報交換に勤しんでいた。 「貴様らとほぼ同時だったようだがな。モクバが捕まっていないなら時間の無駄だ。さっさと終わらせる」 焼け焦げた太い倒木――些細なことまでいちいち再現しているようだったがさすがに煤は出なかった――の一つに、一人距離を取って腰掛けていた海馬の経緯がそんな言葉で締めくくられる。 「結局、クリアしないといけないのには変わりないんだよね」 海馬の話で事情の大筋は理解できたものの、昨日の今日でまた忙しいことになってしまったものだ。 「最強のラスボスなどと言っていたしな」 それを叩きつぶしてクリアを果たし、ビッグ5の首を切ればすべて片づく。たわいもないと海馬は一笑に付すが。 「最強の…ラスボス……?」 「さしたる問題はないだろう。しょせんはゲームだ」 海馬のずば抜けたゲームの腕は知っているし、遊戯自身もかなりのものと自負している。およそ、よっぽど非常識な代物でない限り、最終関門だろうが突破できないなどということはないだろう。しかし。 「うん、海馬くんだって一緒だし。そう、だよね……」 そう言いながらも何故だか、ひやりとした何かが遊戯の胸中から消えてはくれなかった。まるで自分のものではないように。 「早く、終わらせなくっちゃね」 そうすればきっと、何でもなくなる。 「けどよ、このゲームのストーリーがまだよくわかんねぇよな」 「それもそうよね。クリア条件はラスボスでしょうけど、その辺りに関するコトってほとんど書いてなかったし…」 城之内の言葉に肯き、舞が改めて自分のステータスを呼び出す。添えられている文章は戦闘などルールに関することのみで、ストーリーにおいては概要すら掴めない。 「あ…」 それを見て声を上げた杏子に、遊戯以外の三対の視線が集った。 「どうしたのよ?」 「舞さんのクラスって魔術士…? 城之内は?」 「クラス? ああ、オレは戦士とかって」 その答えと共に表示されたステータスに、今度は遊戯が海馬を見やる。視線の意味を察した海馬も無言でステータスを表示させた。クラスとして書かれているのは、神官。 「やっぱり。ボクらのはちょっと普通じゃないみたいなんだ」 遊戯はそう言うと杏子に頷いてみせた。そして二人揃ってステータスを映し出させる。 「ほぅ…」 遊戯のクラスは"勇者の末裔"、杏子のクラスは"封印の魔女"。他の三人と比較すれば明らかに、何らかのストーリー上の意味を付加されている。 「ってコトはまずー、この世界の勇者は何した人かってのと、魔女は何を封印してるのかってのを調べないとなんないわけね」 「人がいるところを探さないとなんねーか……」 先ほどまで上空にいた三人はわかっていることだが、見える限り、町か村らしいものは見えなかったのだ。一面に広がる森、森、森。そのさらに向こうに行かねばならないのだろうから、かなりの距離があることになる。 そう簡単には話が進められそうにない現状に、思わずため息がいくつかこぼれたが。 「……」 不意に立ち上がった海馬が、虚空の一点を睨み据えた。ちらつく砂嵐のようなノイズがその一点に浮かんでいる。 いったい何事かと他の四人も腰を浮かすが、その時。 「何だこいつ?」 ぱっとノイズが弾けて、小さな妖精が現れ。 《兄サマ! 兄サマ、聞こえる!?》 その妖精から、モクバの呼びかける声が流れた。 「! モクバ、今どこにいる?」 「モクバくん!?」 一緒にはビッグ5の手の者に捕まらなかったモクバが、どうしてゲームの中に妖精を借りて現れているのかと皆は訝るが。 《兄サマの部屋の地下からつないでるんだ!》 「なるほど、端末か。誰が操っている?」 さすがにモクバにもそこまでの技術はない。ならば誰か協力者がいることになるが、ここへのアクセスは、社のクローズド・ネットを経由しているに違いないはずで。 《あ、ボクです。獏良です。すみません、部外者が――》 《オレが頼んだんだ、ごめん、兄サマ。勝手に》 同じく妖精を介して聞こえた獏良の声に、遊戯に城之内、杏子、舞は無事だったのかと安堵した。 「構わん。一応、守秘義務はのんでもらうことになるがな」 《はい、わかってます》 「ところでさ。もしかしてそっちで何かわかる?」 話の切れ目を見計らって、声のしない本田は部屋の入り口付近を見張っていることなども聞きながら、遊戯がこちらの状況を伝える。 《もとよりそのつもりでこの妖精を使ったんだよ。こちらもまだ、全部わかってるわけじゃないけど…》 そこでしばし言葉が途切れて。 《まずは、遊戯くんと杏子さんのクラスのコトだけど。確かにストーリーと関係あるよ。伝説の勇者が昔封じた魔龍神の、封印を守ってるのが封印の魔女、杏子さんで。その勇者の子孫が遊戯くんってコトみたいだね》 「その魔龍神とかって、ラスボスくせぇな」 「つまり、あたしたちは杏子を守るのが今のところの役割なのね?」 《魔龍神を復活させたがってるのが敵だから、そうなるね》 半ばノン・プレイヤー・キャラクター扱いの杏子だが、デュエリストでないためそうなっているのだろう。 「とにかくよ、ストーリーを進めるにゃどうすればいい?」 《それなんだけど、どうも本来のゲームの筋から外れたところにいるみたいなんだ。ちょっと待って、今なんとかしてみるから》 ここで獏良が引っ込み、替わってモクバが妖精を預かった。そして。 「……モクバ」 海馬にしては珍しく、歯切れ悪い調子で弟の名を呼ぶ。なんとも微妙な表情で遊戯が見ていることを始め、杏子と舞が顔を見合わせ苦笑したり、城之内が吹き出しそうになっていることがその理由だろう。 《何、兄サマ?》 「……」 どこか嬉しそうに弾んだモクバの声に、海馬はその先の言葉を続けなかった。ただその仏頂面に、微妙に複雑な何かが含まれる。 「その妖精、可愛いもんね……」 ぽつりと遊戯がつぶやいて、じろりと海馬に睨まれるが、いつもの迫力は殺がれていた。――海馬の肩に乗っている愛らしい妖精が和ませてしまう。 「あー! やっぱ我慢できねー!!」 ついに笑いの堰が決壊した城之内に、先ほど遊戯に向けた比ではない剣呑な視線を海馬が向けるが、それさえもいったん火のついてしまった城之内をさらに煽ることにしかならないようだ。 「あ、えっと、ちょっと…」 見る間に空気が寒々としてきているのは、遊戯の錯覚だろうか。 早くなんとかしなくてはという念に駆られながらも、そのなんとかが思いつかない遊戯はおろおろするしかなく。さらには女性陣二人も早々に匙を投げたように肩をすくめた。――危うし城之内。 しかし、助けは思わぬ所から降ってきた。 《お待たせー》 不意にほとほと緊張感を萎えさせる獏良の声がしたかと思うと、五人の周囲がノイズに包まれる。すぐにノイズは晴れるが、広がる景色は一変していた。 「町だ!」 それまでの状況を蹴っ飛ばし、城之内はカードに戻ったレッドアイズをホルダーに収めると、道の先に見えた家々に向かって駆け出す。 進展を得られた中でわざわざ蒸し返すのは海馬にとっても本意でないらしく、同じくカードの姿で胸の前に浮かぶブルーアイズを手に取ると、肩の妖精をつまんで手近にいた遊戯の前に持っていくと離した。 「貴様らが預かっていろ」 咄嗟に両手の平で受け取った妖精を見ながらしばし遊戯は考えて。 「やっぱりヒロインのお供が相場だよね?」 今は獏良もモクバも借りていないのか、そのものらしい妖精に、杏子のところへ行くよう言った。 「ヒロイン!?」 思ってもいなかったらしく杏子が驚きの声を上げるが。 「このストーリーで他に誰がヒロインなるのよ」 ぽんぽんと舞に肩を叩かれ、そっかぁと照れくさそうに杏子はつぶやいた。 |
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