徒人の死



 頬がひどく冷たい。
 やわらかい雪の上で立ち上がり、ふと頬に手のひらを押し当てた。
 降り積もった雪に触れていた頬はすっかり体温を奪われて、今は手のひらの感触すら薄い。
 けれど、失われてはいない。
 松明の炎は、今も燃え続けている。
 じわじわと染み込むように戻ってくる熱は、痺れた時の感覚にも似ていた。




 ──少し痛いな、と。
 アークは今更のように感じた。



まるで当然の冷たさ





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 オープニング、シオンの精霊に死の淵から救われて。
 アークが「徒人(ただびと)」でなくなった瞬間。